会社役員の休業損害については、給与所得ではなく役員報酬として計算を行います。その違いと計算方法について説明していきたいと思います。
役員の基礎収入の計算方法
休業損害を出すためには、基礎収入を計算するひつ代があります。会社役員については、交通事故で受けた損害によって労働できなかった期間の「労務提供の対価」が休業損害として認められ、これを基礎収入とします。
役員は労働して得られる対価部分と、労働していなくても得られる利益配当部分があるから、それを分けて「労働して得られる対価部分」のみを休業補償として認められるということになります。
もっと簡単に言うと、休業していても得られる利益だから、「労働していなくても得られる利益配当部分」は休業損害としては認められませんよ。実際に働いて得られる利益だけ認めますよ。ということです。
ただし、どのようにこの利益を分離するか明確にするのは困難になるため、賃金センサスの平均賃金を参考にしながら、会社の規模や被害者の役割などを考慮しながら計算する必要があります。この分離部分で保険会社ともめるケースが多いのが現状です。
会社役員の休業損害の計算式
上記で定めた基礎収入をもとに計算していきます。
図 休業損害 = 認められた基礎収入 × 休業日数
保険会社が支払ってくれないケースもある
保険会社によっては、役員には休業損害の支払いを拒否するところがあります。「労働者として労働の対価として賃金を得ているわけではないから」という理由になります。ただし、中小企業の役員の場合は、役員報酬に自身が働いた利益分が含まれているため、このような場合は実際に「労働した分の対価」を保険会社に提示することで受け取ることができます。
支払われるかは、自身の勤務体系によることとなるでしょう。役員報酬の内、何割が「労働した分の対価」と判断されるかはケースバイケースです。
長期間の入通院が必要な場合で、休業損害が支払われなかったり、あまりにも低いと判断されているようであれば、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。弁護士は裁判基準で計算しますので、保険会社の基準よりも休業補償が増額されるケースが殆どです。短期間の入通院であれば労力の割りに満足のいく増額は見込めない可能性が高いですが、長期であれば相談してみる可能背は大いにあります。