交通事故による廃業してしまった事例は少なくありません。
では、廃業の損害賠償はどうなっているのでしょうか。
今回は交通事故による廃業についてお話しします。
交通事故のせいで廃業したらその分損害賠償はもらえるの?
交通事故のよって廃業に追い込まれた場合、損害賠償を請求できるかできないかで判断しますと、できます。
例えば、休業した後、事業を再開する場合、いわゆる客離れ等が起こり直ちに事故前の売上にまで至らないことがあります。このような直接的でない損害も、因果関係を立証できれば休業損害として認められることがあります。細かい損害額は難しい場合は、大まかな認定が行われます。逸失利益は別にして、事故前に事業のためにした設備投資のうち、無駄になってしまったと認められる部分を休業損害として賠償を求める事ができるのです。
しかし、その判断が難しいともいわれています。つまり、交通事故によって廃業に追い込まれた因果関係を立証しないといけません。
また、事業を再開するにあたって広告を出すなどの特別の支出をした場合も、相当性のある限り損害額として認められたケースもあります。
廃業の損害賠償が見とめられた事例
Aさんは美容院を経営していたが、交通事故に遭い、左上肢にRSDの後遺障害が残ってしまいました。
Aさんは事故後も、従業員を雇用して美容室の経営を継続していたが、自らが美容師として就労できないことから、結局廃業を余儀なくされました。
Aさんは、事故前から賃料及び仕入れ代金等を滞納していたことが認められ、開業時の借入金債務の返済等の負担は大きかったことはAさんが自認しているものの、美容院が、事故前に経営収支がマイナスとなる赤字経営であったと認めるに足りる証拠はないと主張しました。
赤字経営でないとすると、債務返済のためにも、Aさんは、事故に遭わなければ美容院の経営を継続していたと推認されるとして廃業と事故の因果関係はあるとした指摘しました。
Aさんが開業時に支出した費用は、主に内外装工事費や取り外して搬出することが困難な諸設備の設置工事費であること、賃貸借契約の内容からして、Aさんが有益費償還請求権等を行使して前記投下資本の回収を図るのは困難と認められました。
開業時から廃業までの期間経過による内外装及び諸設備の劣化、陳腐化等の諸事情に照らすと、開業時に支出した費用約400万円の5割に相当する約200万円が本件事故と相当因果関係のある損害賠償として認定されました。
廃業による損害賠償
事例のように、因果関係が認められる場合は、損害賠償として請求できますが、因果関係が認められない場合は却下されます。
交通事故のせいで、事故後に事業を再開しても売上が伸びずに廃業に陥るケースがあります。なので、事業を再開したからといって安心してはいけません。もしも、廃業に追い込まれそうな場合や追い込まれた場合は専門に相談することをおススメします。