後遺障害1級、2級のような重度の後遺障害が残ってしまった場合、損害賠償が大きな額となります。総額で1億以上の賠償金が請求されることも珍しくはありません。また、重度後遺症の場合は認められる損害賠償項目も増えていきます。
損害賠償の項目
- 治療費
- 入院付添費
- 入院雑費
- 損害賠償請求関係費用
- 障害慰謝料
- 将来介護費
- 将来雑費
- 装具等購入費
- 家屋・自動車改造費
- 後遺障害慰謝料
- 逸失利益
これらの項目の総額が賠償金として支払われることとなります。ここでは、6ヶ月で症状固定をした場合の裁判基準で考えていきます。
治療費
治療が必要と認められる費(症状固定)までの治療費の総額を請求することができます。重度の後遺障害で6ヶ月で症状固定した場合には、通常500〜1,000万円程の治療費となります。
入院付添費用
重度の後遺障害の場合には、入院付添費用だけでも100万を超えることがあります。近親者が6ヶ月間(183日)付添ったとすると、近親者付添人につき1日6500円が基準となっているため、183日 × 6500円 = 118万9500円となります。
傷害慰謝料
傷害慰謝料の算定方法は、「交通事故入院慰謝料表」から算定することができます。この表から6ヶ月間の入院における傷害慰謝料は244万円となります。この金額が基準となりますが、重度の後遺障害の場合にはこの金額から2〜3割増加することが多くなっています。
将来介護費用
重度の後遺障害となると将来介護費用という項目が追加されます。将来介護費は「年間の基準額」×「生存可能期間に対するライプラニッツ係数」で算定されます。近親者付添人の基準額は1日8000円ですが、介護が2人必要と認められると、その倍の16000円の請求が可能となります。仮に介護に2人必要と認められた場合にとして計sんすると、「16,000円 × 365日 × ライプラニッツ係数」となります。これが高校生の場合は、1億を超える将来介護費となるでしょう。
将来雑費
将来雑費は将来にわたり必要とされる「紙おむつやタオル等の雑費」を一時金として支払うものです。算定方法は、「年額 × 生存可能期間に対するライプラニッツ係数」となります。重度の後遺障害の場合は、1日あたりの将来雑費が1,5000円程度となり、これで計算すると「547,500円 × ライプラニッツ係数」となります。
後遺障害慰謝料
後遺障害等級第1級の場合は、原則として2,800万円なので、この額を後遺症慰謝料額とします。
逸失利益
逸失利益とは、将来得られるはずの利益を一時金として請求するものです。算定方法は、「基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対するライプラニッツ係数」となります。
賠償金の総額
以上の項目の総額を計算すると、仮に高校生の場合には2億5,000円程度の賠償金が請求できます。ただし、これはあくまでも裁判基準となっている為、任意保険基準で算定すると1億5,000万〜2億程度となるでしょう。重度の後遺障害を負ってしまった場合には、保険会社との示談交渉ではなく、弁護士に依頼して裁判を起こした方が、最終的に得られる利益は高くなるでしょう。